北島/あかみのプライベートなブログです。

流行りがちな話題を持ってきました。というわけで、「同人活動」と「利益」の関係性の話。どんな活動をするか、という観点から見てみましょう。

基本的な建前として、「同人活動」は営利性を含まないと「定義」されています。その定義自体が真に正当なのか、そしてその定義は真に現実を反映しているかどうかは疑念がありますが、とりあえず置いておきます。

ヴィクトリア朝と屋敷とメイドさん からの議論

[同人ノウハウ]同人活動の継続性を高める手段としての「利益」
http://d.hatena.ne.jp/spqr/20090911/p1

を出発点に、以前mixiで議論した話を持ってきてみます。

まずは典型例(!)として、地方の即売会で見られる姿からちょっとした中学生・高校生の同人活動を例にしてみましょう。
#コミケが一番巨大なのでコミケを典型例……と考えてしまうと足を掬われます。あれはどう見ても異常空間。

田舎の同人活動では(同人誌を作ることもありますが)それ以上にラミカが重要なメディアです。ラミカを作るコストはコピーセンターに出したとして1枚50円~70円前後。1枚100円で売ると、ざっと30円~50円の利益。イベント参加費用は1000円くらいなので、交通費も考えても売り物生産以外にかかるコストは3000円くらいで何とかなるでしょう。ラミカを60枚売り切ればペイします。70枚売れれば帰りにスタバで一息つけます。80枚売ればファミレスで打ち上げができます。ラミネーターを持っていればコストは1枚10円以下。となると40枚売れればペイ、50枚売れればファミレスコースです。
同人活動をしたことがある方は、この「感覚」になんとなくほっとするものを感じるでしょう。同人イベント参加は疲れるので、帰りに一休みしたいはずです。そして、この話ではもちろんかかったコストを回収しての話なので、次の活動を続ける資金もあります。

あえて「典型例」と言いましたが、このケースは「慎ましやかな例」です。といっても、同人は自主制作であるというのは本質的に原点なはずなので、出発点はまずここだと思うんですよね。

一方。大規模に利益をあげるサークルの話も当然しなければなりません。サークルの利益金額ってのは基本的に極秘事項にされているところが多いようなので……作り手なら売れているサークルの本数と作品単価を聞けば「目の子で利益を見積もる」ことくらいはできますが、そんな怪しげな数字を使うより数少ないオープンになった数字を使いましょう。というわけで品川かおるこさんに登場していただいて。

異常感想注意報:「同人作家品川かおるこ脱税事件」から
http://teo.cocolog-nifty.com/column/2007/02/post_a7c5.html

こちらで紹介されているデータによれば、品川かおるこさんの3年間の総所得(=だいたいイコール利益と見てよいです)は約2億円とのこと。どこまでが同人でどこまでが商業かが実は不明なのですが、商業マンガ家の収益構造を考えたら多くの部分が同人と見てよいでしょう。……というか、おそらく商業は誤差レベルの数字です。所得ベースで3年間で2億、って数字はどう見ても穏やかに感じられるレベルではありません。

というわけで、同人で利益を上げる話には慎ましやかな話から暴虐的な話まで混ざってまして、レベルを切り分けずに次の議論に入って行くのはよくないです。

とりあえず、あかみ個人作品で利益率の話とかしてみます。自分の作品ならちょっとやそっとアレな話になってもそう大きな問題ではないのでwww
うちのサークルが大手でも何でもない、というかせいぜいとんとんくらいの構造を持つ中堅以下のサークルであることを証明してみます。

CLANNADソナタの楽譜本の、最初期にちょっとだけ作った「コピー本バージョン」。コピーで作った上に、製本だけ業者に出してリング製本にしました。こいつの生産原価が確か1冊1100円くらい。1冊1500円で売りましたので、完売前提として1冊当たりの粗利益は400円。10冊売ると4000円で、M3の参加費くらいが捻出できます。コミケでは10冊ではトータルで赤字。
で、10冊くらいしか売れないだろうと想定して動いていたのですが、「なぜか」委託申請が通るという想定外の事態が発生、100冊の生産をコピー本でやるのは非現実的なのでオフセ印刷に出してみました。楽譜本のノウハウを持ってる印刷業者に頼んだのでトータル8万円オーバーという恐ろしい金額がかかっていて、原価ベースで1冊800円。で、コピーとオフセで値段を変えるのにちょっと抵抗がありましたので、1冊1500円のままで売りました。利益率50%前後。で、これを50冊売り切ると、4万円の利益になります。……2年分+αのコミケサークル参加料金が稼げました。実際には交通費とかもかかりますから、厳密にはもうちょっと足りません。

加西祐佳変奏曲。こいつは「どこまで生産費を安くできるか?」の挑戦を試みてみました。印刷は東大駒場のゲスプリを使って、1冊当たりざっと目の子で100円。紙代とかファイル代とか含めても1冊300円~400円かそこらでできてます。解説書はCDがたしか1枚100円ちょいで、本をあわせても200円以下です。というわけでたしか原価700円くらいのものを1400円で売った計算に。もちろんその収益はサークル参加費で吹っ飛びました……というかアレは大阪のM3で出したので、往復交通費でマイナスですね!

なんだかんだで、このくらいなら「健全にサークル参加して調子良く売れたな」と思うラインは、コミケでなら自分の手元に入る売り上げが5万円~くらいの状況です。受託作品の売り上げは当然自分の手元には入らないので、萌えさいと。でのトータル売り上げにすると10万円弱くらいのラインになります。コミケ参加はなんだかんだで12,000円くらいのコストがかかると見ているので、5万売れると3割弱がコミケサークル参加のコスト。実はこのラインは「ショップ委託と同じ」数値です:ショップ委託はおおむねショップ側の取り分が3割、サークルの取り分が7割。

となると。利益率を50%に設定すると、売り上げの50%が生産費、うちの現状では30%がサークル参加コスト、残りの20%が個人の取り分です。たとえば音楽ソフトの購入費用、資料費、打ち合わせや遠征のための旅費をそこから出して行くので、あんまり余裕はありません。

このくらいの話が慎ましいと思うんですよね。

さて……と、ざっといろいろ話してきたところで。

実は、同人方面の収益構造は活動形態・活動ジャンルによって大幅に違ってきます。先ほど例に出した作品はうちの単独リリース「楽譜本作品」ですが、同人CDの場合はまた別の構造を持っています。そして、同人の活動形態は「同人誌を出す」だけではありません。同人演奏会や同人演劇公演、さらには即売会主催すらも同人活動の一つの形態です。

次はこのへんの話もできたらいいかな。

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ブログの作者

北島(非同人方面)/あかみ(同人方面) です。いろいろやってます。